星へ行く船シリーズを読んだ

読んだ。

星へ行く船シリーズ1星へ行く船

星へ行く船シリーズ1星へ行く船

コバルト文庫版は高校生の頃に友だちに借りて読んだことがあったんだけど、去年から新装・完全版(作者風に言うと決定版…かな)が発売され始めて、今年の3月で最終巻(5巻)が発売されたのでゴールデンウィークを利用して読んでみようと思ってまとめ買いした。
結局ゴールデンウィークこの間の記事にも書いたけどスターウォーズと劇場版コナンを観るのに使ってしまって、ゴールデンウィーク最終日にやっと1巻を読んだ。読み始まると止まらなくて、3日掛けて全5巻読み切った。

あらすじを引用するとこんな感じ。

森村あゆみ、19歳。“ちょっとした事情”で地球を捨て、火星へ家出中。無事に宇宙船が出航と思いきや、手違いで怪しげな男たちと同室に。男たちが関わるやっかいな事件に巻き込まれ―あゆみと太一郎の物語の出発点。
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この「星へ行く船」、ロマンチックSFというなかなか見ないジャンル。いわゆるラブコメSF。
あとで書くけど、新井素子が書く独特の文体も相まって、苦手な人は苦手かもしれない。

読んだ感想

高校生の頃に読んだっきりだったからほとんど覚えてなくて、おかげで新鮮な気持ちで読めた。
とは言いつつも読んでて少し思い出してきて、すごい懐かしい、というか主人公たちが相変わらずなキャラクターで(まぁ物語は同じなんだからそうなんだけど)安心した。

新装・完全版で各登場人物目線の短編も新たに追加されてたり、あとがきも新しく書かれてたり(と言ってもコバルト文庫版のあとがきも覚えてないんだけど)、満足感がある。

SFだし、新装・完全版で今風に書き直してるらしいんだけど、漂う80年代感。でもそれがいい。

新井素子作品との出会い

せっかくだから新井素子作品についても書きたい気分なので書く。

中学生の頃に母親に借りて読んだ「ひとめあなたに…」が新井素子作品との出会い。 「ひとめあなたに…」は、地球の余命があと1週間というニュースを見て、主人公は練馬から鎌倉まで彼氏に会いに行くことを決め、その道中でいろいろな人と会いながら鎌倉を目指す…というあらすじなんだけど、当時中学生だった自分には衝撃的・刺激的な話で、とても心に残ってる。

新井素子作品はいわゆるラノベの草分けと称されてるんだけど、そうであるならば「ひとめあなたに…」が初めて読んだラノベということになりそう。

新井素子作品のよさ

新井素子作品の特徴といえば、主人公目線で口語体で書かれていること。とくに主人公が女の子であることが多くて、地の文でも一人称で「あたし」と言う。
おかげでスラスラ読めるし、いつも主人公視点で読み進めていくとができるから感情移入しやすい。

あと、新井素子って「バカ」を「莫迦」って書くんだけど、それがまたいい味を出してて、口語体の文体と相まってなんというかかわいいんだよね。だからキャラクターに愛着がわくし、好きになる。

あとがきもおもしろい。
普段は、著者について知ってしまうと、著者の思想とかも踏まえて読んでしまって物語だけを純粋に楽しめなくなるのでなるべくあとがきを読まないようにしてるんだけど(同じ理由で声優とか俳優の顔とか日常とかあんまり知りたくない)、なぜか新井素子作品はあとがきまで読んでしまって、なおかつ、あとがきまで楽しめる。

地の文が口語体だったりしてクセがあるので好き嫌いは出るかもしれないけどぜひ読んでほしい作品。